という目次につられ、ほいほい購入


  テレビアニメ魂    
山崎敬之 講談社現代新書


2005年に発行された本書の著者さんは、世間一般にはアニメがまだ
テレビマンガという単語で認識されていた頃から仕事をしていた方。
1968年から東京ムービー(現トムス)に在籍し、ベルばら制作にも
携わっていらっしゃいました。
1970年~90年代作品をよく知っている人に面白い本かもしれません。


著者さんが制作に関わったアニメ作品についての裏話や
当時の制作の様子をうかがえるこちらの御本。
巨人の星関連の話題が目につくせいか、長浜監督と一緒の仕事が
多かったような印象をうけます。
※長浜監督=ベルばらアニメの前期を担当した方


長浜監督のアニメ演出の方法論は、僕に言わせればただひとつ
「舞台そのまま」だった。
~略~
「芝居がかった」大仰な演技を、長浜監督はアニメにも求めた。
『巨人の星』の登場人物たちのあの「張った」話し方、あれこそが
長浜演出の典型だったのだ。

長浜監督って、いろんな意味で熱~~い監督さんだったようで
先の目次タイトルにあった通り本書第8章で、ベルばら制作現場で起きた
監督交代について触れられていました。


実際、田島さんの主張も無理はなかった。
舞台はフランス王侯貴族が華美を競うベルサイユ宮殿。
貴婦人たちが集っての優雅な会話において、なぜか星飛雄馬が花形満に
勝負を挑むときのような張った声を求められるのだから。
録音スタジオでほかの出演者たちが、「どうすればいいのかしら?」と
困惑顔で囁き合っていたのを僕も何度か聞いたことがある。


交代させられた監督は、ショックなど微塵も感じていないようでしたが
この著者さんは監督を慮って、同時期にベルばらの担当を降りたそう。
シナリオ担当と書かれていましたが、何話の脚本担当、と具体的には
お名前がどこにも見当たらないので、あがってきたシナリオをチェックしたり
ライターさんに手配したりするポジションだったのかしら?

この作品では、専門の声優よりも、舞台や映画などで活躍している女優を
声の出演に数多く起用する方針を採った。

田島さんのみならず他の方々を思い返してみると、なるほど~です

他にもちょこちょこ、スポンサーと視聴率などの関係にも触れられていて
視聴率高く人気ある作品でも打切りという、理解不能な事があったそうです。
人気があっても関連商品が売れないとか、売り上げがこれ以上
見込めなくなったらすっぱり打ち切り・・・凄いナ

テレビまんが(アニメ)は「たくさん物を買わせるための道具」としか
見ていなかったのですネ。当時のスポンサーは。
あんまり露骨だと、今だと反感買って大騒ぎじゃないかしら~(苦笑)


という事で、オスカル様の苦悩が気になって手に取った本でしたが
隠れている舞台裏も見えてきて、ちょっと面白い本でありました。


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