グレースと公爵 
グレース・エリオット著  集英社文庫

映画版を見たくて、どこかで放送されないかな~
ずっと待っていたものの気配ゼロ。
なので原作本を手に取りました。

gbook

これは映画ではなく本を選んで正解だったかも。
なかなかユニークな本でごじゃりました

18世紀、実在したグレースという貴婦人の覚書。
オスカルさんとほぼ同じ歳で、フランス革命期を生きた女性。
小説的な面白さもありました。

オルレアン公の愛人でしたがバリバリの王党派で
公爵にさくさく意見する頭のよい人でもあったご様子。
けれども平民以下は下層民として十把一絡げにしていた気配もあり。
まー当時の貴族意識としてはこれが標準かも。。。

この女性にとって、オルレアン公の賛同できない部分は
公爵の周囲にいる悪い人間の影響だ、という解釈なんですね。
彼女からみたオルレアン公の姿が描かれているので
アニメでの悪党系とはまったく違う人物にみえますヨ~ <当然ですが(笑)


公爵が王の処刑に票を投じた事で、二人の関係には
決定的な亀裂が入ったように見えましたが
それでも公爵は、彼女の身に危険が迫る時には
なんとか助けを出せないかと画策する気配もあり、単なる愛人という
関係(心情)だけではなかったようにも感じられます…。

グレースが王妃のために動いたような気配も、ちろっとあるのですが
その辺の詳しい事までは書かれておらず不明。
王党派なのに危険なフランスに留まり続けたせいで、結局は捕まり投獄され
過酷な環境下で一年半ほどを監獄で暮らし、ついには(ギロチンのために)
髪を切られた所までいきましたが、ロベスピエールの死によって
九死に一生を得たようですあぶなやあぶなや


この女性、捕まったり釈放されたりという事があったなか
入れられたサント・ペラジーの監獄では、デュ・バリー夫人に会っていて
夫人についての記述が、ほんの少しですがありました。

わたしが出る前に、あの気の毒なデュ・バリー夫人が入ってきた。
すっかり気落ちした様子だった。
わたしの寝床に座りに来て、ルイ15世とその宮廷の逸話を
何時間も話してくれた。
~略~
夫人は処刑台の上で、勇気あるところを示したとは言いがたい。
だがわたしは、もし全員が夫人のように抵抗したならば、ロベスピエールは
これほど多くの死刑を命じられなかったのではないかと思う。
なにしろデュ・バリー夫人の絶望の叫びには、下層民ですら同情し
恐怖を覚えたという話なのだから。
夫人はとてもいい人で、わたしは同じ一つの獄につながれていたあいだ
本当に夫人と親しくなったのだった。


元々はイギリスを祖国とする女性でしたが、1823年にフランスで
亡くなったそうなので、過酷な牢獄生活を経験した人たちの中では
長生きできた方でしょうか。

本書は革命勃発から始まり、王や公爵の死後、彼女が牢から
釈放されるまで、が彼女自身の原稿部分として記載され
その後、イギリスに渡ったりフランスへ戻って死去するまでを
編集者が簡潔に補足してある形の御本でした。
元々はグレースの覚書を彼女の死後、孫娘が出版したもののようです。

うーん。これをどう映像化したのかしら?
やはりそちらも見てみたいかも…どこかで放送してくれないかな~