myお年玉物件

シャルル・マルヴィル写真集

今はもうない、失われたパリの風景。
19世紀に行われたパリ大改造以前の街路を収めた写真集。

マルヴィルを知ったのは鹿島茂先生の本だったはず…と漁ったら
「パリ時間旅行(筑摩書房)」でしたので、そこから一節。
現在のパリの街並みは、1853年頃から約20年ほどのあいだに、
スクラップ・アンド・ビルドによって、つまり旧来の街並みを
人為的にすべて破壊したうえで、綿密な設計図に基づいて
建築されていったものなのである。
~略~
では、この大改造によって中世から続いた過去のパリは
完全に消滅してしまったのかといえば、必ずしもそうとはいいきれず、
たとえば、カルチェ・ラタンやマレ地区の一部には、破壊を免れた
昔の街並みがそのまま残っている。
~略~
バルザックやユゴーのパリ、つまり失われたパリを知ろうと思ったら、
シャルル・マルヴィルの写真に当たってみるにしくはない。
というのも、マルヴィルがファインダーに収めたパリは、明らかに
大改造以前のパリだからである。
「マルヴィルのパリ」より

特にバルザックやら19世紀文学ファンというわけでもない私
お目当ては、更に古い時代を偲ばせる痕跡でした。
ロープで吊るされた街灯や、中央が窪んだ石畳の下水溝など
時代が時代ですから車ではなく、ときおり馬車が見えますの… 

こちらは1995年版ソフトカバーの洋書のみ。
他にもアメリカで発行されたハードカバー版があるようですが
今まで古書を探しても、高値で手が出ず何年も傍観 



それが昨秋頃から下がりはじめたので、ようやく手にできました。
写真点数が膨大なので、もしかしたら書籍化しにくい面は
あったかもしれませんが、多方面に好事家もいるのだから
まるごとじゃなくても日本版、あってもよさそうでしたのにね~。