2018年04月

先回UPした「名画に見る男のファッション」本に
パンツさん見え見え画が1点ありました。
カルロ・クリヴェッリの『聖ロクス』。十四世紀の聖人さんで
太腿に傷がある事を表現する為、衣をはだけて描かれており
結果、見えちゃってるゾ~な御姿に


宗教画の腰巻姿など男性像にはいろいろありますが、中世から更に遡ると
古代ローマのモザイク画に、下着姿の女性像があったりします。
オリンピック誕生の地ということで、運動をしている最中らしく、円盤やボール
ダンベルなどを手にした姿。

その服装は、ビキニで泳ぎますとでもいうようなチューブトップスタイル。
胸がぼよんぼよん揺れないよう縛りつけ、けど動きやすいという妥当な姿?
ローマという事で、全裸で競技しなければならなかった男性に対し、女性は
運動するときは下着姿で、というのが当時のお約束だったご様子。ひえ~
※興味ある方は” ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ ”で検索してみて下さい


絵画等では、女性のシュミーズ以外の下着姿が見えるものは
なかなか見当たりませんが(私が知らないだけかも)
十年位前?に、中世オーストリアの古城から、当時の下着そのものが
発掘された事があったそうです。ずばりブラやパンツの本物さん
※最近まで知りませんでしたの~このニュース。

lingerie
帯状の布ではなく、ちゃんとカップが分かれてますよね。
コルセットのような硬いボーンは入っていなかった様子。
ロングラインブラだったのか、それとももしかしたらシュミーズの
下がなくなっている状態なのでは?という説もあるようです。
他にも同時発掘品がある中で、下に続いているはずのスカート部だけが
ないというのは変な話では?と個人的には思うのですが…


※世界最古のブラ発見記事については↓こちらで検索プリーズ
600-year-old linen bras found in Austrian castle




宗教画のパンツさんに触発されたとはいえ、とりとめなく下着の話を
致しましたのも、オスカルさんのパンツ問題が頭の隅にあった故でございます。
彼女は特殊バージョンな生き方で日々過ごしていらっしゃいましたので
当時の男女”両方”タイプの下着を、その活動内容に合わせて身に着けていたと
私は考えておりましたデス。
製作指示監督は、基本ばあや担当というで

中世には男性用ですが、トランクスタイプやら紐パンが存在し、今でも
実物が現存するほどですから、ジャルジェ家のオスカルさんも、それなりに
財力のある家柄でもありますから、過去からの知識と技術を総動員して
様々に専用品を作らせていたのではないかな~と想像想像。。。

腰巻ひとつと言われる江戸時代にも、必要に迫られた環境下では
ふんどしを締めて活動した女性もいたようですから、オスカルさんだって
特製パンツ、はいてたと思いますよ~~~。もしかしたら紐パンを





  名画に見る男のファッション
 
   中野京子  角川書店


フェルゼン大好き~な中野先生が、絵画に描かれている
男性ファッションについて、語られているこちらの御本。
軽快な語り口で、1点についての解説分量はコンパクト。 
なので全体、さくさくと流れるように読めました。
※ベルばら直結話は無し


『チャタートンの死』 ヘンリー・ウォリス
wallis
描かれているのは17歳で砒素を煽った詩人さんの姿。
亡くなった詩人が実際に住んでいた現場をスケッチし、同じように売れない詩人を
探してきてモデルとしてポーズをとらせ描いたのだそうです。
おかげで、こちらは画家ウォリスの代表作に。
けれどその2年後、なんとモデルをした詩人の、その妻を奪って駆け落ちしたのだとか。
(ちょっとひどいんじゃないでしょうか とは中野先生のツッコミ 。

もちろんこちらの御本、マジメに解説されてありますが、頁が進むにつれ
所々じ~わじわくる面白さが滲み出ています。
大笑いとは違う、じわじわ加減 これは先生の人柄なのでしょうね~


美脚には赤 『フランス王ルイ十四世の肖像』
ou0
”当時、靴の縁やヒールに赤い色を使えるのは宮廷貴族だけだった。
要するに靴に差す赤は、特権の証なのだ。
ぐいとこちらへ出して見せつけているのも納得できよう”

という十四世陛下の解説の次にきたのが

太陽王には負けたくない
 『芝居の衣装をつけた皇帝レオポルト1世』


デーハーな羽飾りの御仁は、マリア・テレジア女帝の祖父さまでした。
時代はバロック。王侯貴族は男が女よりも華麗に装っていた頃。
こちらは結婚式を記念しての肖像画らしいのですが、中野先生によるコメントが

“太陽王とは正反対の、このノーテンキなコスプレ”
レオポ
ぶほ説得力ある絵と相まって、私の中では “ノーテンキさん” 確定
けどこちら様 “君主としては、賢明にして強運の皇帝であった” そうです。


勿論本書はこういうノリだけではなく”当時の靴は左右同じ形だったので
太陽王ばかりかアントワネットも、靴に足を合わせていた”
 
とか
フランス革命勃発の折、王室警護にはスイス人傭兵もいましたが
当時各国にいた、この傭兵を職業としていた人達についても
”様々な国の貨幣を持って帰国したため、それがスイスの銀行業を
発展させる元となった” 
などという御話もあり、さり気にマメ知識が
散りばめられた御本でございました。

中野先生、いつもゆかいな解説をありがとうございます


nakano


saku-b


 ラスカルの桜テラリウムまねっこ
 …のはずが、あえなく挫折
 



輪郭線なしの絵が描いてみたい。。。。けど。一体どすれば・・・?





なんでホタル すぐ死んでしまうん?


hota

ベルサイユのばら、子供の時と大人になってからでは見た後
心に残るもの、こと、湧き上がる感情に変化がありましたが
火垂るの墓も同様に、自身の感覚に変化を感じた人も
いたのではないでしょうか。


久しぶりに、かぐや姫の物語がみたいな。。。



 世界の美術~そのルーツと魅力~

BS12トゥエルビ(4月13日放送)
”太陽王の時代 ルイ14世コレクション”


興味あるテーマの時だけチェックしているこの番組。
どうかなー?と思っていたら、今回はちょっと
自分の興味範疇からは外れてました。
興味が薄れた所へ昼の疲れも手伝い、うとうとと・・・

ナレーションに重なり、内容に合わせたBGMが聴こえてきます。
「あーなんだかベルばらぽいわー」とぼんやり思っていたら
「…じゃなくて、これベルばら! と一気に覚醒しました。

使われていたのは、ロザリーたんによるポリニャク夫人襲撃場面の曲。
完全版CDには入っていなかった流用音楽でした。

こちらの番組、素人目にも古いフィルムを使っているなぁと分かる
映像の粗さで、輪郭のぼんやりした画面と音声。昭和ですねえ。

むか~し地上波で放送した番組を、BSで再放送しているのだと
思いますが、最後のテロップでは制作がフランスSFPとなっていました。
フランスSFP=フランス番組制作会社
1974年に分割、誕生したところ。
会社とはいってもNHK的なポジションのようです。

CIMG9134


つまりは約40年近い前(もしかしたらベルばらアニメ放送頃?)
当時のフランスの制作会社が、フランスの業務用音楽を使って
番組を作っていた、というそれだけの事なんですが
流用音楽(曲)が、素直に本来の使われ方をしている番組を
思いがけず見ちゃったわ~ というレア気分を刺激され
あぁこんな事もあるのねぇと、ひとり勝手に盛り上がっておりました
こういう不意打ちサプライズなら、いつでも歓迎でしてよーん




「 バラは、ライラックにはなれはしない
 オスカルが、オスカルじゃなくなることなんて出来はしない 」



ベルばらアニメ版では、誰かさんが大暴走の果てに
やってもうた…
とばかりにこちらのセリフを吐いたのが第28話の事。
その3つ後、第31話が "兵営に咲くリラの花" なのですが

ライラックは英名。
フランス語ではリラ。

ディアンヌちゃん登場回という事で、リラというのは彼女の事を
指しているかと、単純にそう思っていましたがどうでしょうネ?

CIMG9131
実際のライラックはこちら 和名は丁香花(ハシドイ)
ライラック
お花の写真集 http://www.flower-photo.info/

女の子女の子していたディアンヌちゃんには、ぴたんこな
花かも…と、のほほんと思っていましたら、ライラックには
ちょっとびっくりんちょな伝説がありました。

とある貴族が田舎で村娘を見初め、熱心に通った末
結婚の約束を交わしました。
それもつかの間、貴族は他の貴族の娘に心変わりし
裏切られた村娘は、傷心の末、死んでしまいます。
その娘の墓に、友人がたくさんのライラックを供えたところ
薄紫だった花々は、翌日、真っ白に変わっておりました…。

というお話。
他にも、婚約解消を伝えるのに薄紫のライラックを贈ったという
話もありましたが、そちらはこの伝説からきているのかな?

探しても、話が単独で載ってる本は見つからなかったのですが
少しニュアンスの違う、最初から騙すつもりの貴族と
それに絶望した村娘が死んでしまうバージョンもありました。

ともあれ、貴族の男に純潔を奪われる点と、裏切られた娘の
埋葬されている墓に供えられたライラックが、色を変えるのが共通事項。
イギリスのハートフォードシャーの墓地には、今でも
その白いライラックが咲いているというおはなしです。


最初読んだとき、出来過ぎ て思っちゃいましたよーん
細かい差異はありますが、こちらずばりディアンヌちゃんの流れ
そのまんまですよね?
まさかまさか?と思って、第32話ラストを見直してみましたが
ベットに横たわる彼女に降り撒いてあったお花は
さすがにライラックでは無さそうでした。
…残念なような安心したような気分…(苦笑)

漫画ではライラックやリラの例えは登場しないので
アニメ版製作スタッフ…というかシナリオ担当者さんが
この伝説を知っていたうえで、サブタイトルの例えなどに
使ったのでしょうかね?単なる偶然?
考えすぎかしら~


ふりだしに戻って、冒頭に挙げたアンドレさんのセリフ。
薔薇と対比させてライラックを持ち出しているのは
まあこの、ディアンヌちゃんへの流れに続ける意図があったとしたら
凄いなーと思いますけど、そうではなくて、単純にライラックが
パリでは一般的な、馴染みある存在の花であったからだと思います。
現代のパリの様子は、行ったこともないので分からないんですけどネ





「 バラは、ライラックにはなれはしない
 オスカルが、オスカルじゃなくなることなんて出来はしない 」
  ( 第28話 アンドレ 青いレモン )


ライラックってどんなん?と、この花を意識したのは
アンドレさんの、このセリフを聞いてからのことでした。
現在では耐暑性のある品種もあるようですが、元々は
寒冷地向きの草木らしく、残念ながら実物は見た事がありません。
北海道にはたくさん咲いているようですね~
ちなみに沈丁花は、ポーの一族で覚えました(笑)

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  マリー・アントワネットの植物誌 
 エリザベット・ド・フェドー著  原書房

こちらはプチトリアノンに集められた植物を扱った植物誌。
挿絵が素敵な本でごじゃりました

ベルばらだけを見ていると、プチトリアノンといえば、離宮と
王妃の村里の印象が特に残りますが、敷地は広く温室等もあり
世界各地の植物を収集されていたそうです。

訳者あとがきにはこちらの本 『「小トリアノン」を舞台に、植物学、歴史学、
医学、香水学、民俗学などさまざまな分野が織り成す、博学の書です』
 
と紹介されていて、確かに植物毎に様々な解説と紹介がついていて
面白いのですが、反面、内容が散らかってしまっている印象もありました。

"12ポンドのバラをとり、すり鉢で3握の海塩を加えて粉砕し
そのペーストを12パイントの川の水に溶解させ、24時間浸水させる。
金属製の蒸留瓶に注ぎ、砂風呂を用意して…"
(以下略)
などと、バラの項目では精油の調整法まで載っていましたが
これ見て同じように作れる人はいないでしょうね~

ストレートな植物図鑑ではなくなっているので、せっかく植物毎に
まとめられていても、図鑑用途には不向きでした。
それを考えると、この本はアントワネットFANの読み物、もしくは
ボタニカルアートが好きな人向きという感じかしら?


ヴェルサイユでのマリー・アントワネットは
八重咲ピンクのライラックの小枝に囲まれながら眠った
ライラックを散りばめた絹の生地が
正寝室の壁とベットに施されていた


ふ~んそうだった?と確認してみたら、その通りでした。
ライラックで飾られていますネ
ライラック
 ベルサイユ宮アントワネットの寝室↑


と、ライラックを追いかけたら、意外な所がベルばらアニメに繋がったので
そちらを別立てで、改めて次回に






  ヴェルサイユ宮―華麗なる宮殿の歴史 

  ジャン・クロード ル・ギユー著 西村書店


ベルサイユ宮殿に関する本は多々ありますが
その中でも、少々変わり種の一冊がこちら。

読ませる本ではなく、見せる本。
すべて線画で構成され、写真はなく説明文も少なめです。
本が大判サイズなので、大人のための絵本のような趣も。

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こちらはルイ15世当時の宮殿内部。右上の大きい部分が鏡の回廊です。
中央は中庭になっていて、一階の右側建物から突き出た屋根の部分は
王女達が勝手に付け加え、自分たちの玄関として使用したところ。
その手前にある柵は、一般人が入ってこれないように設置されたそうで
王様そっちのけで、なんとも自由自在なんですね~。

ドールハウスのような、こういう断面図、好きでした
これを見ると単純に二階建て三階建て、という区別の出来ない事が
一目瞭然で、ストレートに判りやすいでしょ。

きらきら豪華な装飾や絵画で溢れた表の様子だけではない
裏側にある、ひそやかな階段やシンプルな廊下。
そういった部分をもっと見てみたいのでありました。

ベルサイユ宮殿は延々と増築・改築が繰り返されていたところなので
だからこそ護衛を任とするオスカルさんは、状態を把握するのに
暇さえあれば歩き回っていたわけですね。ほら、アニメでは黙々と(笑)

CIMG8974
15世統治下の宮殿内、右下は王の浴室。(その上はボイラー室)
女性は基本ひとりでしたが、男性はこの当時、しばしば連れ立って
入浴する慣習があったそうです。なので浴槽が二つ。。。

こちらの御本、宮殿を建設するために土地を図るところから始まり
革命を経て、その役目を終えるまでが描かれていますが
惜しむらくは歴史の長さに対してページ数が少ないのです~~。
あーもっと見たいのにーっっ だから尚更絵本ぽいのよネ

CIMG8970
図書で借りて読みましたが気に入ったので、結局買っちゃいました。
あぁついつい…ベルばら関連となるとお財布の紐が緩んでしまいまする





  18世紀ヨーロッパ生活絵引  
都市の暮らしと市門、広場、街路、水辺、橋


こちらは発行元である、神奈川大学日本常民文化研究所
非文字資料研究センターの第二期研究成果報告書という事で
市販はされていないらしく?寄贈されていた図書館で拝見しました。
※逆に県立図書館等の、大き目めの施設なら寄贈されている可能性有り

門・広場・街路・水辺・橋をテーマに、パリ・ミュンヘン・ローマ・ロンドン
ウィーン・ヴェネチア各地の絵画・版画をピックアップし、細部の名称や
その内容について解説されています。
自分はパリばかりを追いかけてしまいましたが、当時の各都市間での
風俗の違いなどを比較できるのも、この本の魅力かも。
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上記はパリの【ポン・ヌフ(橋)とサマリテーヌ揚水所】
この当時の橋上にあるはずの高層建物群がなく、見晴らしのよいのが特徴。
絵画の制作年は1777年なので、ロザリーさんがジャルジェ家に引き取られた頃の
市中の様子でもあるわけですね

上流階級が所有する豪華な馬車以外に、座席に屋根のない馬車、荷馬車
箱型の人力車(籠とは違い、2人で運ぶ車輪付タイプ)が見えまする。
元の本はA4で、見開きに、どーんと大きく図版を載せているので
通常の書籍よりも、細部までよく窺い知る事が出来て好印象です。

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こちらは【サン・ドニ門】
パリへ流入する物品に課税するための関所的な門とは違う、象徴としての市門。
様々な階級と職種の人々が行き交っていますが、憲兵の姿もちらりほらり。
先ほどの橋にもその姿がみえ、この頃の民衆を描いた絵画・版画には
必ずと言ってよいほど憲兵の姿もあるそうです。
けんぺい…といえば、アニメ版でラサールを検挙していたあの辺の人達でしょかネ?


という事で、私などは学術的興味というよりも、ベルばら世界を
脳内で補完するために、興味本位で眺めている人間なので
こういう本は見ているだけで、むっちゃ楽しかったのでありました

研究してくれてありがとーございます神奈川大学さん
全二巻予定だったようですが、もう続刊は無しになったのでしょうか?
このように密かに楽しみにしている一般人もいるんですけどね~



 神奈川大学非文字資料研究センター
http://himoji.kanagawa-u.ac.jp/index.html




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