王妃とフェルセン伯の往復書簡、黒塗り部分の解析記事。
6月に書簡解読の第一報がありましたが
より詳細な内容を掲載したル・モンド誌の記事が登場しました。
マリー・アントワネットと愛人の“黒塗り手紙”を最新技術で解読
クーリエ・ジャポン 2020/7/26 配信《有料記事》解読された内容の全容報告は、いずれ専門書で発表…かと思っていたら
にゃんとこの度、解読作業のデモンストレーションが行われたのだそう。
それも場所は楽器博物館地下。
ひゃ~フランス、さすが海外やることが違う
肝心の書簡内容については、この記事内では新情報はない…ようでしたが
手紙を書いた人物についての評。
結局のところ、研究された15通の手紙のうち、2通だけが
フランス王妃によって書かれたもので、他の13通は
フェルセンによって書かれたものだったのである。
に、ちょっと振り出しに戻された気分でした。あらまぁ
王妃から届いた書簡そのものを塗りつぶしたわけではなく
自ら書き起こし複製したものを、さらに塗りつぶした…ということで
原本は破棄したか、その後紛失してしまったか…なのですね。
複製するとき、自分の都合悪い部分に変更を加える…というマネは
しなかったわけですか。してたら塗りつぶす事もないだろうし。
改変してたら、そもそも複製の意味がなくなりますものね。
今回の研究結果、これ自体は小さな一歩。でも確実な一歩と思います。
かつて交わされた往復書簡。それを後世の人間が解読するという事。
今回のこの研究者さん、文化財研究基金とフランス国立中央文書館から
助成や支援を受けてます。
つまりは歴史資料、文化財研究の一端であるというところ。
記事では"肉体関係あったんか?"というデバガメ根性にみえそうな
文言もありますが、その辺は世継・継承問題に直結する事だからでしょう。
今では共和制となり、謎(噂)を解き明かさなくとも問題はありませんが
こうして現在残されている史料を丹念に調べる作業が続けられているのは
歴史として「本当にあった事」を記録として残したいからではないかしら。
革命前後の混乱期、特に王妃への誹謗中傷は度を越し
刺激的でスキャンダラスなものばかりが蔓延していたので
そういう根も葉もない嘘を排した「事実」を見極めたいのでしょう。
日本だって、肖像画がなくなったり年号変わったり
いまだ歴史教科書に、こまごま改訂があったりしますでしょ。
研究を積み重ねる事で見えなかった部分が見えてくる。どこの国もみな同じ。
「ヴァレンヌ事件」で国王一家が逮捕される様子を描いた同時代の作品
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