2022年06月

どこだっけ?と漁ってみたら40周年記念本にありました。

-「ベルばら」とともに-オフィシャルブック
池田先生・萩尾先生の対談

 宝塚も作っているのは全部男の人だったから、当初はやっぱりね
  オスカルを女っぽくしたいわけ。
  アンドレに対しても「あなたの妻にして」って言わせたの。
  原作ではそんなことは言わない。そういうキャラクターで描いているのに
  男の人が作ると変わっちゃう。

 男性のファンタジーがどうしても入ってしまう。
 女はこうあるべきだっていう考えはなかなか抜けないですよね。



宝塚初演時のお話。
女は…男は…“こうだろう”という決めつけゴリゴリだった時代。
今なら原作をとんでも解釈する事も少ないと思いますが
センセ、最初からかっ飛ばされてましたのネ

これは原作利用のことですが、そもそもの一般著作物について。
ドラマ性のある創作物では、作者の性別によって
男ならではの女性像、女ならではの男性像が見えてきますよネ。

実家暮らしだった頃、家にあった男性作家の現代小説(昭和)を読んで
なんでこうなるの?と腑に落ちないことがありました。
男性ファンタジーが入り過ぎていて、書かれている登場人物の
女性の思考(による行動)が理解できませんでしたのよ (苦笑)
強すぎるファンタジーは読者を選ぶかもしれません


 Director’s Magazine No.113
出崎監督インタビュー
俺にとっての原作は、ある新しい世界を作るためのきっかけです。
ほかの人は、ふざけるなって言うかもしれないけどね。


違いを1ミリも許さない原作命!な人には怒られるでしょうネー
これはTVアニメ『雪の女王』についての語り。
出崎監督にとっての原作は、新たな作品を生み出すための種…。

ベルばらは途中交代で参加した作品なので、始まりと終わりで
ずいぶん変化しているのは御存じのとおり。
私的にはこの形が良かったのかも…と思っています。
前半後半・共にこのくらいの匙加減におさまって良かったかと。

40話と短縮された事、スケジュールに余裕がなく
追っかけ制作らしき状態だったことが、出崎カラー全開に
出来なかった要因の一つでは?と想像します。
途中からとはいえ、時間と話数に余裕があればもっと改変したのでは?
まる1本、出崎監督指揮で見てみたい…気持ちはややあるけれど
本当にやっていたら、今とはまったく違う作品になったでしょうね。


ベルばら第38話「 運命の扉の前で」には、自分の中でどうしても
納得しきれなかった場面がありました。
「アンドレ、命じてくれ」←これはにゃい
ここだけむっちゃ分かりやすく監督の考えが現れていたのですね。
私にとっては宝塚初演「あなたの妻にして」同レベルのびっくり箱。
他の場面は暗示的だったりするのに、なぜここだけこうなのよ~~監督ぅ~

暗示的…ベルばら以外の出崎監督作品は、その半分も見ていませんが
受取手次第で如何様にも解釈できる部分があり、尚且つ監督も
それを是としているところが好きでした。
…あぁだけど38話。
あそこだけはもっと違う表現にしてほしかったなぁ~~
と、ほたる場面よりも思っています 。






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ほたるは・・・まぁいいや







監督関連の書籍読み読みはこれがラスト。
2012年発行の本書から一部をピックアップ


  出崎統の世界  河出書房新書

出崎監督1999年のインタビューから
 (手塚)先生が亡くなってから、「おにいさまへ…」という
池田理代子さんの作品で、初めて、現在の手塚プロダクションから
仕事の依頼を受けたんです。
僕自身は『ベルサイユのばら』のときに、原作者の池田さんに迷惑を
かけたと思っていたんですけど、ご本人は気に入っていただいたみたいで
それで『おにいさまへ…』も僕のところに話がきたんですね。


迷惑というのはご自身の原作クラッシャーな点を言ってるのかな?
池田先生は今も昔も、作品(原作)提供についてはハードル低いですよネ。
「違う媒体なのだから違いは出て当然」という意味の事を言われてたはず


小林七郎美術監督・談 
未完成のような絵コンテの中に、たくさんのメッセージが含まれています。
大きな狙いは歴然とありながらも、しかし、決めつけない。
「君ならどうする?」という課題を残しているんですね。

~略~
自分が描いた完成図があって、そのなかに
ぜんぶ組み込もうとするのとは違うタイプでした。
だから、完成した作品も「こうだ」と決めつけない。
かなり暗示的であったり、少し分かりにくかったりする。


制作スタッフでも後から「そうだったんですか!?」な事が
あったりしたそうなので、すごいな。。。 <”エースをねらえ”の時
ベルばらに当てはめて考えても、これはわかる気がする。

高橋宏固撮影監督・談
監督から「入射光を入れて飛ばしてくれる?」と言われて。
~略~
「太陽光がカメラの後ろにあるのに、どうやたって入んないでしょう」て言っても
「いいんだよ、画面上で美しく見えりゃ」と。
白い光が強調されれば、物理的なことは関係ないと言うんです。

アルアル
これは作品『宝島』の事ですが、ベルばらでもありましたねー。
オスカルさんの背後から斜めに陽射しが降り注いでいるのに
対面・逆方向のアンドレ背後からも陽が差し込んでいるの。
ははは ♪ 確かに印象的でありました
ストーリーだけ追っていると案外気づかないかも。

この強引さが可能だったのは、当時のアニメの放送は基本一度きり。
という環境も影響してるのではないかしら?
一度しか見てもらえないのだから一発で説得力ある画面にしなくては。
一般家庭にビデオが普及し ”気軽に” ソフト購入出来るのはも少し後、昭和60年以降くらい。
庶民はそれまで繰り返し見る事は不可能でした…)


ところで。
原作付アニメは原作通りにつくってナンボ。の件。
これは原作ファンからすれば当然の事で
元々の世界観をきちんと再現できるかが大事なところ。
個人的には、原作の良さを損ねない事を前提として
”改変はアリ"と思っています。程度の問題はあるかしら。

出崎監督の原作改変は有名ですが、近頃は同じように
原作に独自の解釈を加えて作る監督は、いなくなったように思います。
…私が知らないだけかもしれませんが。
※平家物語などの古典は別

漫画・アニメは今も見ていますが、原作付アニメについては
「綺麗な動く紙芝居だなぁ」と感じる事があります。
再現しているだけでプラスα がなにもないの。

漫画面白いしアニメ版もまた違った魅力があっていいね!
という作品を見たいな~ と思ってしまうんですよね。
もしやこれは贅沢なことを望んでいるのかしら?



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お出掛けmemo  2022年5月29日


 『 稀書探訪 』の旅  
  日比谷図書文化館特別展 鹿島茂コレクション2

日比谷図書館でまたまた鹿島先生コレクション展。
ANA機内誌に12年間連載された『 稀書探訪』
そこでご紹介されていた稀少古書を一挙展示の贅沢。

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フロリアンの寓話
撮り方下手で麗しさを再現できないのがくやち~

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動物の精神(エミール・バヤール画)
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ラ・フォンテーヌの寓話(ドレ画)

入場してすぐの小さめスペース
グランヴィルの擬人化動物画もずらりと並べられ
こちらは撮影可能スペースだったのでポチポチ激写!
…のつもりがカード抜けてて保存できない大失態
だから本体にちょっとしか撮れなかったにょ。無念~~~
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会場では、有名なコゼット挿絵エミール・バヤール画)の本が
さりげに置かれていてびっくり。
散歩中、突然有名人に遭遇したような気分

傘をさし歩く紳士の絵で、これはタブロー・ド・パリ?と気づく楽しさ。
絵だけなら和書や資料で見えるけど、こうして実際に挿絵として
採用されていた本そのもの、実物を見る事が出来るのって貴重
サイズ感は本物を見てはじめて実感できること。
大きかったり小さかったり、自分のイメージと違っていたりするのよネ。
児童書はけっこうな大判だったのが意外。
 

今回の展示の一番の御目当ては、18-19世紀の風景描写で
それはもちろん良かったけれど、思いがけず一推しとなったのは
ド・モンヴェルの挿絵本「ジャンヌ・ダルク」でした。
会場では、物語の進行順に続けて並んであったのもよかったデス。

淡いトーン・柔らかさの中に動きの激しさもあり
全体が洗練され調和がとれていて、見とれてしまう美しさ。
絵本なのだけど芸術品…という感じ

帰宅後、も一回みたいなーと探してみたら
青山学院も貴重な特装版を所有されているようで
紹介映像がありました。



こうして紹介してみせて貰えて感謝
ちょっと色が違う印象…なのは仕方なし。うーん
これはやはり実物がいいのよネ。直に見るのが一番いいのよネ。
あたりまえかぁ。。。


急ぎ足だったこの日、時間が読めないトコロ、連れてきてくれた
Tちゃんには感謝です見る事できてよかったな~






本日のお昼ごはん
池袋『こせり』で、あいがけのトリコロール。
オレンジ色はキーマ、緑の方にはチキンがごろんと潜み中。
甘口というわけではないのに全然辛くない不思議。
けど食べ続けてたら、鼻からお水が…あららら?
スパイスが効いているということかしら。

同席Tちゃんの評=素朴・素直な味。
なるほどそうかも~変に凝ったりしてない美味しさでした
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おでかけmemo  2022年5月29日
 

わが青春のアルカディア&トークショー 
エンタメシアターin新文芸坐 ゲスト:田島令子


田島令子さんのお喋りを直に堪能
自分にとって次のチャンスは無いかも?と判断し
行ってきました新文芸坐 入り込んだのは午前の部。


はじまりは映画の上映から。
「わが青春のアルカディア」は…濃かったです。
男のロマン全開! 松本美学盛り盛り200%の映画でしたね。
部分的には知っていたけど、通してみるのは初めて。
ここまで濃ゆい作品とは思ってませんでしたよ~おなかいっぱい


上映後、いよいよトークショー。
スクリーン前に、ぱぱぱっとセッティングされるテーブルと椅子が三つ。
え?司会&田島さん以外に誰かゲストいる?と思っていたら
聞こえてきたのがハーロック(井上真樹夫さん)の声だったため
 井上さん亡くなってなかった !? と大勘違いしたわたくし…
既に鬼籍の方デス

これは数年前にあった「999」40周年イベント時に収録された音声を
このトークショーに合わせて再度公開されたものでした。びっくり~
今回トークの始まりと、最中、終了後の三回に分けて
井上真樹夫さんの語りを聴かせてもらえて特別感ありましたネ。
途中ちょっとしんみりしちゃった。
声優さんは死後もこうして(作品外でも)存在を感じさせてくれるのね。


さあいよいよ本命!田島令子さま御登場です
目に焼きつけるじょ! しっかり覚えていくじょ!
と頑張り、帰宅後ちまちまとブログにまとめていたら
UPする前に公式さんがアーカイブ配信されてました。
わぁ!? 


 エンタメシアター#09 (2022.8.29までの期間限定配信)
20220529
  https://www.youtube.com/watch?v=Ya-QnGr8tNI

頑張って弾丸ツアーで行ってきた自分の努力はいったいナニ~?
と一瞬黄昏れましたが(苦笑) これはこれで思い出が残ってありがたや

けど、よく見てみたら現地で体験したのとはちょと違う。
このYouTube版は、午前・午後二回分を合わせて
(ハーロック映画に対応しているように?)編集されたみたい。

トークショーですから田島さんを喋らせてなんぼ。
田島さん相手では司会者さんも力量を試されますにゃ~
映像中、水上バス用の収録話までが午前トーク部分でした。
10分ちょいではなく、もっとお話しされたんですよー。
以下収録されなかったコト


声の仕事をはじめたきっかけ
バイオニック・ジェミーを日本テレビさんから依頼された
その前に出ていた旅番組をみてて決めたみたい

昭和:声の収録現場のこと
当時はゲストで俳優さんがくることも多かった
(役者は全身を使って芝居をする事が身についているので)
マイク前で収録中大きく動いてしまい「令子ちゃん!」と
ゲストの皆さん共々、注意されることがあった

エメラルダスを演じる時に気をつけた事など
なし。四の五の考えず スっといく。
ダメな時は演出さんが指針を言ってくれるのでそれに従うから
先に作り込みしすぎない

強い女性を演じる事が続きましたね
バイオニックジェミーは不慮の事故をきっかけに強くなり
悩んだけれど、でも心はすごくたおやかな女性だった
オスカルもそう、優しい女性でエメラルダスもそうだった
立場上強くあらねばならなかった…のだと思う


声の演技について
あらかじめ緻密に組み立てて挑むタイプではない
アニメよりもラジオドラマの方がのびやかにできた
フィルムアニメの時代は作品の制作が間に合っていない事が多く
演技の目安の映像が「唇だけ」「口を意味する棒線だけ」という事があり
オスカルの時もそういうことありました
最初は合わせるための絵があったけど(話数が進むと)絵がなくなっていった

田島さんはどんな人?
わたしは黙っていればよろしいの
喋るとこうなっちゃう あまり深くはない
役の中ではたくさんやったから 
人も殺してね 大変なのよわたし(笑)わらいごっちゃないわね

仕事での気分の切り替えは特になし
切り替えというより、役に徹する事ができなくなるから
あれこれ仕事を重ね過ぎない方がいい

若い頃、仕事を詰め込まれてた収録時、衣装合わせの時に寝てた
「(起きた後)寝た顔になる」と怒られたけど、やっぱり寝てた

最後にひとこと
こんなによく喋るエメラルダスに幻滅してない?大丈夫?


トークショー午前の部はこんなくらい。
午後の部も聴きたいな~と後ろ髪ひかれつつもこれにて終了。
TVで拝見する時と変わらず田島さんは、ここでも飄々として楽しかったです



司会午後の部にもまたトークショーがありますのでよろしくお願します
田島:え?また喋るの?
司会もちろんです!おねがいしますー!
(会場に広がるくすくすくす…










新文芸坐に田島さん(イベント予告)



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