カテゴリ: ◆ ベルサイユのばら


パリが沈んだ日 
 --セーヌ川の洪水史--    佐川美加 白水社


パリ市の海抜35m以下の地域を"パリ低地"と呼ぶ。
昔々の大昔、セーヌ川が流れていたルート跡。
現在は全域にわたって盛り土が施され嵩上げ済み。

以前ブラタモリ(TV)で、タモリさんがパリの盛土を指摘していて
その時は「あんな平らな場所に、なぜ盛土が必要?」と
不思議に思った謎が、この本で氷解しました。
パリが水没するなんて微塵も思いませんでしたよ~

バスティーユ広場も低地に該当…と、なかなかに広範囲。
増水対策も兼ねて、かつての要塞は作られたみたい。
昔の絵図には自然な川岸が見えるけど、今は全て人の手が加わり
現在のパリ市内では天然状態の岸辺は見られないそう。

日本は梅雨や台風があるので、6-9月に降水量は上昇し
国土の急峻な地形から、増水・川の氾濫が短時間で起きやすいけど
フランスは逆。冬にかけて雨が上昇カーブを描く西岸海洋性気候で
雪解けが進む頃に、じわじわ洪水がおこるタイプ。

さて、ベルばらファンとしてはここで脱線し
本書の洪水データから18世紀後半の部分だけをピックアップ

1756-1795

オスカルさん生まれたての1756年1月。セーヌ川氷結。
スケートを楽しめるくらい、がっちり凍りついたそう。
40年分抜き出しただけなのに7回も洪水起きてた~~

近衛にいた頃、遭遇してるかな…と思ったけど
ジャルジェ家の館はベルサイユだから、そう影響ない?
パリにも別宅あったかなー?
オスカルさん死去した年の冬もセーヌ川が氷結。
氷の厚さは60cmあったそう。めっちゃ寒かったのネ

「洪水」は大変な事だけど「氷結」もこの時代、痛手な出来事。
食料など物資輸送路としてセーヌ川が使えなくなるから。
今の日本でも、災害にあった人なら覚えがあるでしょう。
スーパーからものが消えたり、身動きがとれなくなる不安。


こちらの書籍、19世紀におきた洪水のドキュメンタリー風の章など
興味深かったけど、ユニークだったのは中世の川船のこと。

ワインや馬草等、様々な物資が日々往来していたセーヌ川。
人力で操る舟のほどんどは川を下りパリへきていて
川を遡る曳舟もあったものの、費用がかさむため、利用しても
なお儲けが残る商材の運搬用に限られた。

では下ってきた舟のその後は?といえば、ほとんどが使い切り。
荷を積んだ舟は、到着後そのまま川岸に繋がれ倉庫化。
荷がなくなったら陸に引き上げ解体し、燃料用の木材になった。
おぉ~完璧 最後まで無駄なく利用し完結してたのネ



セーヌの洪水は過去のものではなく、その脅威は続いていると認識。
現在パリに点在する美術・博物館では、洪水時における収蔵品等
大移動の非常用マニュアルが策定されてあるそうです。ちゃんとしてる~ 
文化を大切にしている国としてあるべき姿ね。

最近でいえば、映画 “ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く ” 作中で
『いざという時美術品を搬送する役目を常駐の消防士が担う』という
場面がありました。思わず、おお!と背筋が伸びましたわ。おほほのほ


kouzui



おでかけ20240323

朝日カルチャー講座
   美しきレイピア剣術 
西洋殺陣ファイトディレクター 新美智士


行ってきましたレイピア講座。
単発の講座で、内容は基礎の基礎。
集まったのは初参加の人ばかりだったのでちょっぴり気楽。
座学ではなく剣を片手にレクチャーと実践デス

re

カンカン軽やかに~は全然出来ませんでしたが
楽しかったですもっとやりたい

フェンシングとの繋がり、流派の構えの違いから始まり
剣のヒルト(持ち手付近)のデザインの意味を拝聴。
このぐねぐねデザインは、相手の切っ先を絡めとり
握り手を保護ということで、美しさだけじゃなかったのネ。
The-Met-Cloisters
The Met Cloisters    rapier hilts

持ち方(握り方)から教えてもらったものの変に重い…
と思ってたら自分の扱いがまずかっただけ
そもそも手のひらで、がっちり握りしめるものにあらず。
借用品がカップ付だったためか?これで習ったのは
スモールソード用の握り方。※剣身はしなり無
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デザインだけならプチジェロたんがオスカルたんに
たたきつけた剣と同じタイプね ♪

他に剣身幅の広めな剣や先生個人所有のレイピアも拝借。
指をひっかけるとか握りの形が変わると扱い易さも違い面白~ 

剣が派生した歴史からいくと、レイピアの後に
スモールソードやサーブルが登場し、どうやら
オスカルさんが使っていたのはスモールソードだったみたい。
「スモールソードはレイピアより短い?」か質問したら
レイピアと同じでしたあらま
長さが短い剣はショートソードというのでした。
そうよねsmallはshortではないわね(´▽`;;;

アントワネット時代がスモールソード
ナポレオン時代が湾曲したサーブル(軍刀)
だからといってレイピアがなくなったわけではなく。

フェンシングの親はレイピア、と勘違いするのは
一般にはスモールソードの知名度が低いせいとのこと。
そうかも~。自分もベルばらがなければ調べることも
剣のカテゴリを気にする事もなかっただろうから。

剣の構えや扱いについては、宮廷タイプ・実戦タイプがあり
こちらの先生は舞台等の指導もしているので演劇(芝居)ならこう
と内容盛り沢山…過ぎてもう忘れ始めてます。。。。やばし

洋画などでサムライ解釈をみると、あらら?な事がありますが
日本刀の感覚で洋剣を扱うと、同じように海外の人には
なにそれ?にみえる事があるみたい。創作畑の人は大変だわ

防御が大事とか、剣の扱いに裏表があったりとか
実際に自分で扱ってみると、読んだり聞くだけ知識よりも
納得度がバリバリに違いました。
帰宅後、漫画やアニメで剣術シーンに出会うと見え方違うの。
解像度があがるとはこういう事か…と実感。

講座終了後、わいわい話が尽きずにいたら場所を替え
近くのお店でご飯しながら先生を囲み即席座談会開催。
ギリギリ最後までいたら、予約していた新幹線を
危うく逃すところでしたが参加してめーっちゃ良かったです!

こちらの先生てば、フランクでとても親切だったんですよネ。
なに尋ねても丁寧に答えてくれるの。
参加した人それぞれ趣味嗜好も年齢もバラバラだから
質問も様々で、SWのライトセーバーの事やら
海外からレイピアを手に入れるには銃刀法が壁、とかとか
聞いていてごっつー面白かったです。

もっと具体的に書きたいけど、書いても正確さに欠けるのと
先生の商売の邪魔をする事になるといけないので以下省略。

この講座行って良かった。ホント楽しかったですよ。
まず日常で経験する事ありませんから全てが新鮮
東京いいなぁ~~こんな講座が普通にあるなんて。ブツブツ
バリバリの運動音痴で最後までヨロヨロで終わりましたけど
絶対(よぼよぼになる前にもう一回行きますデス






新美智士 ヨーロッパ専門の殺陣師
 https://satoshiniimi.official.jp/
紹介映像の「小説創作科の特別講義」が体験した講座と近い感じ













いただきにゃんこ

awa
 https://www.so-bey.com/


堪能してきたフィルフィルのコンサート。
演目にあった『昭和&平成アニメメドレー』は
アトムで始まりドラえもん・コナン・ルパン・ガッチャマン
デビルマン・パーマン・アンパンマン・キューティーハニー
ドラゴンボール・締めが999(999以外は全部TV版) ということで
密かに期待していたベルばらは登場なしでした 残念!


今回初めて聴いてみて、フィルフィルいいなぁと思ったのは
サントラが好きで好きで演奏してる空気感。happyオーラ?
アニメ作中で聴こえてくる雰囲気を再現する方向で
演奏してくれているトコロがあるので、作品fanだと
ぐっと胸に来るものが倍増されてた気がします


様々な作品から選曲されていたので、権利関係を整え
オリジナルスコアを揃えて…という準備から大変だったそう。
想像だけど、フィルフィルだから演奏許可貰えたんじゃないかな?
代表戸田さんの人望・信頼。おまけにコンサートで儲けようとしてないもの。
パンフに寄せられた作曲家さん達のコメント読んでても
てゆかパンフ全体見てもサントラ愛に溢れてました<パンフ無料

帰宅してからも、しば~らくフィルフィル熱愛状態が続いていた中
昨年オルガン演奏でのベルばらコンサートへ行った事を思い出し
ベルばらアニメ曲をフルオケで演奏してもらうなら
フィルフィルが最適なのでは…と思い至りました。

主題歌カッコイイじゃーん!
『革命』カッコイイじゃーん!
演奏してる人も気持ちいいと思いますよフィルフィルさん!!
でもって『優しさの贈り物』とか弾かれちゃったらきゅん死デス


閑話休題。
フィルフィルはオリジナルスコアに基づいて演奏してる…。
ベルばら音楽集の完全盤が出た時、楽譜見つかってたんですよね。
(メロディ譜だけかフルスコアも?かは不明)
私、前に馬飼野先生宛にファンレター書いて嘆願しよとしたんですけど
宛先がどーーーーーしても探しきれず挫折してました。
SNSなし公式HPなし事務所不明、直近のお仕事はてな?となると
作家・漫画家さんと違い、作曲家さんの宛先特定って一般人には無理G~めそめそ

あとは一縷の望みを抱いて、フィルフィル大明神にリクエストするしか
手はないのかにゃ。。。





フィルフィル FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA
 https://www.filmscorephil.com/
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心臓を捧げよ。とかサービス満載でこんな幸せなオケのコンサート他にありませんヨ






 新年早々飲み過ぎるなよ
 ん?まだまだいけるぞ ♪ ておくれ

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 年となり申し上げ




おでかけmemo 半・分解展2023 (7)

この秋行った『半・分解展』
わたくし18世紀部分にべったり貼りついていたため
それ以降の近代部分はほとんど写真撮ってませんでした。
とゆかろくに見てなくて。時間足りなさ過ぎ~~~

レクチャー参加は1回だけでしたがとても面白かったです。
アビなどは意外とコンパクトで、シャツのように平面的に畳めるとか
(オスカルさんのクローゼットは広くなくても平気か?と勝手に妄想…)
アイロンだけで生地を造形する技能とか盛りだくさん。
紳士服以外も参加したかったですネ
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思い出を全部記録しておきたかったけど
ひとまずは18世紀分だけで終了。
19世紀以降の服飾のお話も面白かったです~。
ミシンが登場すると「古い技術(手縫い)ではありません」
「最新です」アピールで過剰に縫われていたりとか


今回スマホで写真撮りまくりましたが
googleフォトからまとめてDLしても開けられない状態で最後まで四苦八苦。
結局ひとつひとつDLしてからブログ用に小さく縮小。
スマホっておっそろしいサイズで撮ってましたのね。
個々のサイズが大きすぎてPCが負けちゃいましたヨーー


服飾アンティーク物件、展示だけなら他にもあるけど
裏側や細部まで、それも手にして体感できるのはこちらだけ。
専門に勉強してるわけではない素人の私でも、貴重な内容でした。

半分解展
再び開催されたら絶対行きます!









おでかけmemo 半・分解展2023 (6)

18thドレスチ~ム
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ローブ・ア・ラ・フランセーズの装飾。
なにやら金属ぽい素材だったので、主催様に質問したら
どうやら後の年代に足されたものらしくあらま
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プリーツの背中内側の縫い目に興味津々
たたまれた襞が広がっていかないように縫い留めてある?

突発レクチャーでプリーツ部分の型紙拝見。
これで半身(…だったはず)生地のボリューム半端な~い
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ロザリーのポッケ部分どのドレスもこんな感じなのネ。
見えてるのはパニエ?の生地模様。
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ピンクの10年後、1760年代製のローブ。
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胸元のぞき見ちゃん。なかなかごっつい金具アリ
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それを脱がし脱がしーの
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ぺろりんちょ。内側ご紹介。
背中側でもサイズ調整できる設え。
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ローブ・ア・ラングレーズ
手縫いなのにこのギャザー…鬼やわ
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このドレスはフィシューの優しさが好み
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このドレスに合ってる
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何点か刺繍し忘れポイントがあるよ、と
ドレスレクチャーを聴いた通りすがりの美女さんから拝聴
袖の内側、見事にライン引いただけ。
イギリスものだし宮廷服じゃないから未完成部放置したのかなぁ。
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織物でなくドレスに刺繍というのも少数派なんじゃないかな?

少数派といえば、バックヤードから取り出して見せてもらった
19世紀ドレスはウール素材にプリントされている珍しいものだった。
プリントものは綿素材と思い込んでたけど、こういうのもあったのネ









つづく










おでかけmemo 半・分解展2023 (5)


ブリーチズ=キュロット
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こちらも本物見られるのね~と期待して会場IN。
あるある~ と近づいてみたら違いました。
キュロットの次、長くなってからの二点。素材はスウェット。
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横にはサンキュロットのコート。
もこもこして手縫い感ありありの縫い目も素朴。
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長ズボンちゃん。
ギロチンの標的にならないよう、伸びたけど
ふくらはぎカーブをわざわざつけて強調してる。
それまでのふくらはぎ美学を何が何でも死守!
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この形↑フォールフロントというそう。オープン↓ 
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後ろでサイズ調整できるぽいけど…紐は見当たらなかった。
左側にあった19世紀ストレートパンツはサスペンダーで吊るタイプ


アンクロワイヤブル伊達男くん
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のお尻ご紹介いただき。たっぽたぽぽ
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コレ初めてきいた時は えー!?でしたわ

ロココからのキュロット。
ふくらはぎを目立たせるため、膝できっちり留めてたけど
そうすると、そのままでは歩けないそう。
どこかにゆとりをもたせないと生地がひきつれ足が動かないのね。
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布だけ状態でも、こんなに たぷたぷ。。。
一方、復古期の貴族さまも、たっぷたぷで おむつみたい。
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でも上衣を着てれば全部隠れちゃう。
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コートあってこそのキュロットでしたか










つづく





おでかけmemo 半・分解展2023 (4)



会場でチェックし忘れたこと
  
プリーツの襞を数えること<あほ?
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ということで?後ろ姿四人衆
センターベントにある横線デザインはボタンホールだとか。
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左アビは革命前のゆったり調。プリーツた~っぷり。
右アビは革命勃発後もので、すっきり調

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ジュストコール袖部分。
円錐形に袖口に向け、徐々に幅を広げていくものもあるけど
復元した型紙で解説いただいたバージョンは、袖は細いままで
補強として三角の生地をプラス繋げたやり方だったそう。
巨大カフスを引き立てるためなら、努力や工夫も厭わず。。。



ボタン帖 
芯として木の土台。それを金糸やメッキキで加工。
ジュストコール時代は豪奢、アビになると優雅という印象ネ 

   ジュストコール                      ウェストコート
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  ↓アビ・ア・ラ・フランセーズ                フロック(コート?)
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   ↑キュロットのボタン                   サンキュロットのコート


生地を合わせたくるみボタン可愛い革命後の方がオシャレに感じる

  アンクロワイヤブル                   アビ・ア・ラ・フランセーズ
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  アンクロワイヤブルのベスト              アビ・ア・ラ・フランセーズのベスト
    






つづく





おでかけmemo 半・分解展2023 (3)



ジュストコール の ひらひらちゃん
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巨大カフスが重々しい一方
胸元の繊細なひらひらさんに目がいきます
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おさわりOKな展示ということで
初めての接触はこちらを ぴらり。。。
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なるほろ~縦に縫い付けてある
けど、もちょっとよく見たい。
全体どうなってるか見たいけど
薄く軽く繊細な生地なのが伝わってくるので
傷めるのが怖くてこれ以上は動かせません... 繊細ちゃん…

などと逡巡していたら翌日がっつり見えました
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上着を脱がせている所へ遭遇

ボタンホールはあるものの今回、首元はピンで固定。
丈は結構長く、けど胸くらいまでの開きで筒状みたい。
かぶって着るタイプ。
前も後ろもいたる所ギャザーよせまくり!細か~~~い。
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布を裁断することなく体に沿わせられるように…とのお話し。


生地たっぷりなところへ上着着ても、こちら薄く軽いから
中でごたついたりは、そんなしないかな?
形がよくわからなかったけど、脇の下は補強されてました。
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(写ってる手は前列の奥様方)
人気でしたね~ブラウスの御紹介。
それなりにしっかり見る事できて良かったデス。
欲を言えるなら、もっっっと見たい

こちらは紳士もので、この後バックヤードから
婦人ものブラウスも持ってきて見せていただけましたが
貴族クラスの紳士ものに対し、婦人ものはブルジョアクラス。
触らなくても生地の違い(質感)がわかりましたよー。ゎぉ~~







つづく






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